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チョン・ソンギョン
自由に育った末っ子
「グッキ」がMBCドラマ2度目の出演となるチョン・ソンギョンは、グッキのライバル ソン・シニョンとして登場する。
「愛と成功」のミョンジのように愛には勇敢で、自分の求めるものに向け迷いなく突き進む強さを持ちながら、愛する人には振り向いてもらえない寂しい女性だ。
何不自由なく育ち、歌手としても大成功を収めながら波乱万丈な人生を送るシニョンを演じるソン・ソンギョンに意気込みを伺ってみた。
連日の徹夜撮影のうえ、休みは日曜日の午後だけという生活を送るチョン・ソンギョンに会いに行く途中、ふと思い出した言葉がある。映画に初出演したチョン・ソンギョンに会った人が言っていた言葉――「不思議な透明感のある女性」。
あれから5年、彼女は今も純粋なままなのか。それとも成熟な女性に変貌したのか。私は一度も会ったことのない彼女の変化が気になった。
少し早めの日没の暗闇をかき分けて、チョン・ソンギョンは軽快な足取りでやって来た。
「グッキ」の撮影が午前になってようやく終わったという言葉が嘘のように聞こえるほど…。
子犬がプリントされた黄色いTシャツにジーンズをはいた彼女は、さらさらの黒髪を軽くかきあげながら可愛く愚痴った。
「4時間は寝られるはずだったのに、甥たちに起こされて1時間しか寝られなかったんです」
姉兄の子供たちが集まると、チョン・ソンギョンはまるで幼稚園の先生のように忙しくなる。
スケジュールの空いている日はほとんど甥っこ、姪っこを連れて近くの公園で遊んでいるという。
3年前、父の再婚で頼もしい弟ができたが、それでも家の末子は自分一人だと語る彼女に‘末子’の不利を聞いてみた。
「食べ物や服などを買ってきても全部姉や兄に取られてしまい、そのくせお使いはいつも私に回ってくるんです。兄弟が多かったため生存競争も激しかったです。姉や兄はいつも勉強、生活すべての面で模範にならねばならず、ストレスが大きかったと思いますが、末っ子の私には両親もあまり期待せず、自由に育ちました」
女優が私の最後の道
両親が姉にばかり気を使っても妬むことなく、むしろ外に出て男の子がするメンコや玉遊びに余念がなかった。
音楽家になる夢を断念して医者になった父は4人の子供たちにピアノを教えた。
その道を歩んだのは長女で、二女と長男は美術の道に進んだ。
世の中のすべてのことに興味がありながらも飽きっぽい子供だった末っ子は、ピアノにも美術にも夢中になれなかった。
中学の時、舞踊教室の練習風景に一目惚れし、大学では現代舞踊を専攻したが、4年生の時、諦めた。
「踊るのは楽しいけれど、毎日踊っているかと思うと息苦しかったんです」
では、俳優の生活は何がよかったのか。
演技に一目惚れという運命的な出会いがあったわけでもない。
『あなたに私を送る』でデビューした時も「これでなければ」という決意はなかった。
「私の空白を監督や先輩俳優たちが埋めてくれたのです。みんなに励まされて楽しく撮影を終えることができました」
しかし、実際はすべてが順調に終わったわけではない。
当時、エロチックな内容が問題になった『あなたに私を送る』の女主人公、“ズボンをはいた女”役でデビューしたチョン・ソンギョンは、その後、評価が厳しい時代劇「張禧嬪(チャン・ヒビン)」を2作目に選び、厳しい演技授業を受けた。
その後も2本の映画に出演したが、デビュー作でついたエロチックなイメージを払拭できず、しばらく苦しい時期を過ごした。
しかし、今はあの時期があったから今があると感謝している。
「自分とはまったく異なる性格の役を引き受けるうちに、そういう役をうまく消化できる女優として世間の評価も変わり、本当の自分の性格と演じた役柄が混ざって今の私になったのだと思います。『犬のような日の午後』に出てからは悪口も覚え、今は上手に言えるようになりました(笑)。いろいろな意味でバランスが取れた性格になりました。女優が私の最後の道だと決めたのもこの時期です」
ダンスを含め、これまでどれ一つ最後までやり遂げたことがなかったが、演技への欲望を克服した時、チョン・ソンギョンは別人になった。
「デビュー3年目に体調を崩したことで、思いがけず過去を振り返る時間を持ちました。自分のいい加減さを反省もしました」
他の人より演技を始めたのが遅く、正式に演技を勉強する機会もなかったのが残念ではないか。
「オ・ヨンス氏やキム・ヘス氏のように同年齢の俳優たちと比べると、彼らは経歴も長く、自己管理もしっかりしているのがうらやましいです。でも、もし私が幼い頃からデビューして人気があったら鼻持ちならない人間になっていたかも知れません。大人になって始めたからこそ、自分なりの主観を持って仕事ができるのだと思います」
‘ズボンをはいた女’の秋物語
チョン・ソンギョンにとって演技の学校はドラマだ。
主人公中心で公開後でないと自分の演技が確認できない映画と違い、ドラマは同僚、先輩と日常的な交わりがあり、視聴者の反応を直に感じながら演じることができるからだ。
写真撮影に応じる彼女を見ながら、自分を一番よく表現できる表情やカメラの位置を本能的に身に付けていると感心した。
「瞬発力があり、モノマネが上手いですね」と褒めると、「たぶん舞踊を習ったからです。私が習った舞踊は創作より模倣の側面が強く、教授の言う通りにやった学生が高く評価されました。そのせいか何かをマネするのは得意なんです」
好奇心にあふれ、瞳をキラキラさせながら少女のようにすべてを自分のものにしようと懸命に演技に没頭する彼女は、先輩演技者たちとの時間が一番幸せだと言う。
パク・チュア、コ・ドゥシム、キム・ヨンエらベテラン女優の名前を挙げる彼女の声は、興奮で上ずっていた。
「このセリフはこんなふうに演技するんじゃないかと予想していると、彼女たちはその予想をはるかに上回る演技をしてくるんです。その力強い演技力を生み出すのは、10代の少女よりも繊細な感情です」
彼女が「グッキ」で演じるソン・シニョンは、素朴なグッキとは対照的に華麗で感情の揺れが大きく、肉体的に大変な役だという。
「シニョンでは、ドラマチックな演技をお見せするつもりです。乗馬、趣味などその当時の上流生活も見どころです」
これまでは一風変わった感情を持った役や、あるいは三角関係の愛人役が多く、いわゆる“お嬢様”役を一度もやったことがないが、女優としてその点はどうなのだろうか?
「残念ですよ。でも、“お嬢様”役ばかりやっている人の中には、私のように変わった複雑な役をできない人もいるじゃないですか。チョン・ソンギョンという名前で視聴者の皆さんの頭の中に浮かんでくるイメージがあるだけで感謝しています」
現在、「グッキ」と映画「新婚旅行」撮影が1週間の半分を占める。俳優生活に対する“幸福指数”を聞いたところ、「極めて順調」という答えが返ってきた。
「自分自身を褒めたいくらいです。いろいろな役に変身できるのが嬉しいし、毎回新しい人たちと一緒に仕事をするのも楽しいです」
インタビューは軽快なテンポで進んだ。
私は彼女のデビュー作がチョン・ソンギョンにつけた名前“ズボンをはいた女”というニックネームがとても気に入った。
旅行鞄一つでどこでも飄々と渡り歩く女、たとえ転んでも、さっとほこりを払って立ちあがる女が私の前にいるからだ。
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